「地域社会と危機管理研究所」活動報告(2003年度)

 

1.     2003年度研究成果概要

 本研究所のプロジェクト研究としては2003年度より新たに環境問題及び都市におけるリサイクル活動に関する調査研究を本格的に始めた。前年度からの継続的なプロジェクト研究テーマを含めて2003年度の研究成果の概要を以下に示す。

1)都市における資源循環システムの再編と地域の自律に向けてのまちづくり活動の分析

 近代大都市の資源循環システムの発展と密接に関わって形成された再生資源業者(再生資源の回収・加工・売買を行う専門的な社会集団)とその集積地区の分析を踏まえ、高度成長期前後の産業構造の転換、地価の上昇や工場立地等の制限、大量消費=大量廃棄の生活様式の定着、自治体による清掃事業の充実化や資源循環システムの質的な変化などにより、大都市フリンジの地域社会が大きく変貌していく姿を描き出し、地域の自律的な発展可能性についての分析を行った。さらに現在、上記の再生資源業界の変貌とタイムラグを伴いながらも関連して生じた「行政セクター--市場セクター--住民活動セクター」の相互連携による都市の資源循環システムの再構築の取り組みについても検討を加え、地域社会レベルでの循環型社会形成の課題の吟味を行っている。この研究の特徴は、地域産業と市民=住民による資源循環に関わる集合的な営為の実態と今後の展開可能性について、<地域社会の歴史的変遷>や一定の社会経済的構造条件下での「『場所の力』の生成や再発見・展開」と関わらせるかたちで検討を加えていこうとしている点である。この研究は、2002年度から予備的な調査研究を開始し、東京都城東地区(とくに、台東区、荒川区、足立区、葛飾区)をとりあげて、地域産業領域と生活領域が交差するようなかたちで繰り広げられるまちづくりについての実態と今後の活動の可能性を、資料収集などを通して検討してきたが、2003年度からは科学研究費補助(研究課題「都市における資源循環システムの再編と地域社会の変動」、基盤研究C2:研究課題番号15530345、2ヵ年計画)を受けて本格的な調査を進め、@東京都荒川区東日暮里地区における故繊維産業集積地、A東京都足立区関原・本木地区における資源回収業集積地域、B東京都北区におけるリサイクル施設およびその運営を行う市民団体、の三つを主な対象とした調査を実施した。それぞれの成果の概略は以下のとおりである。

@故繊維産業集積地の調査では、複数の故繊維業者に対する継続的な聞き取り調査を重ね、かつて故繊維産業が東日暮里地区において多数の業者が緻密な分業構造を形成しながらひとつの産業集団として機能していたことを確認し、それが再生羊毛やウエスなどに対する豊かな需要と、都市の浮動的労働者層によって担われていた独特の廃品回収機構を存立条件としていたことを明らかにした。
A資源回収業集積地域の調査では、当該地域における町内会幹部に対する聞き取り調査を重ね、この地域を構成する多様な住民層とそれぞれの大まかな来住・定着の時期をつかむことができた。それにより、かつてこの地域に多数存在した、再生資源市場を最底辺で支える拾集人や建場業の地域的文脈について確認した。
B北区のリサイクル施設及び市民団体調査においては、他の特別区に先駆けてユニークなリサイクル政策を実現した背景として、町内会などの既存地域社会に深く根ざした市民団体の活動の歴史的厚みと、それらの団体が行政当局と再生資源業者との提携をスムーズに行えたことの二点を析出した。

2) 安全志向型コミュニティ活動の実態と可能性に関する研究

 2003年度は、その他に、防災まちづくりや防災福祉コミュニティ、安全な地域環境を志向した地域おこしや活性化の取組み等を対象にした資料収集と活動のカテゴリー化を行い、大都市部では東京都、京都市、神戸市、地方中小都市では夕張市等の一部地域をとりあげ現地調査を継続して行った。これらの調査の中から、地域の社会経済的構造条件をふまえて、地域住民による集合的な活動のきっかけ、活動の組織化過程、活動維持条件についてのモデル化を行い、活動の担い手になりうる人材育成のあり方やそれを支えている理念等についても知見を得た。これら調査活動の成果の一部は、浦野正樹他編著『地域における安全志向型コミュニティ活動の可能性と地域文化の変容に関する研究』(2000-2001年度科学研究費補助金助成報告書)早稲田大学地域社会と危機管理研究所2003年3月発行にまとめている。(http://www.waseda.jp/prj-sustain/kaken2000-01/kaken2000-01title.html
 

3)マルチメディアなどを活用した地域活動支援と普及・啓発教育プログラムの開発

 また、以上のような調査活動の知見をふまえながら、それぞれの地域が、地域危険度を念頭においたうえで地域の危険要因を発見し、活用しうる資源を発掘していくプロセスを整理し、実践的な意味で防災知識や地域活動の普及・啓発に寄与する学習プログラム(カリキュラム作成や教材づくり、活動マニュアルづくりなど)の開発を進めている。その成果は、浦野正樹編著『婦人防火クラブ・リーダー・マニュアル(前・後編)』日本防火協会 2003年3月及び2004年3月発行などに盛り込まれている。また、2003年度の研究は、2002年度に引き続き、「災害現象と社会的影響研究」「都市・地域社会研究」分野における生涯学習&高等教育など教育研究上のマルチメディア情報通信技術の活用方法の検討、防災知識や地域活動の普及・啓発に寄与するカリキュラム作成や教材づくりを進めていった。とくに、高等教育レベルでは、災害情報や都市・地域情報を教育利用するための環境整備(データベース、ホームページ、オンデマンド授業などへの掲載情報の整理・加工など)に加え、演習・実習形式授業での教育利用の方策や教育プログラムの作成など、また生涯学習レベルでは、とくに主婦を念頭においた教材作成、普及啓発型のカリキュラム開発などを、中心的な研究テーマとしてとりあげている。

 その他、本研究所では、地域社会と危機管理に関わる、研究員個人の問題関心や研究成果を相互に出し合って研究情報の蓄積に役立てるとともに、今後の研究の方向性を検討する機会を、研究例会のなかで設けている。それらの成果については、次項にある「2003年度の具体的な活動」の研究例会の項を参照願いたい。

【キーワード】

安全志向型コミュニティ活動、防災まちづくり、防災福祉コミュニティ、地域防災力、危機管理、生活再建過程、防災教育、マルチメディア、生涯学習、資源循環システム、循環型社会、リサイクル、再生資源業

 

2.     2003年度の具体的な活動(研究会、講演会、シンポジウム等)

 

◆定例研究会

第1回研究例会(2003.5.28.水 場所:文学部)

研究報告
「東京都荒川区東日暮里地区における故繊維産業に関する調査の中間報告」下村恭広
◇活動報告及び審議事項
 その他、昨年度の活動・研究成果についての意見交換、現在の情報化水準と試み(研究・活動団体データベース、文献書籍データベース、図表等資料データベースの現状、HP運営の現状、オンデマンド実験授業など、さらにデータベース用資料など各種データ提供の依頼など)、今年度の研究・活動実施計画についての意見交換など

第2回研究例会(2003.6.27.金 場所:文学部)

活動報告及び審議事項
「研究所における情報化の取組みと現状---調査・研究機関、文献、教育・研究素材データベース事業を中心に---」浦野正樹
「『3年経過後のプロジェクト研究所研究事業報告書』の概要について」浦野正樹
研究報告
「ヴァルネラビリティ分析の『第一世界』への応用----文献紹介:Robert Borlin with Louis Stanford, "The Northridge Earthquake: Vulnerability and Disaster, 1998, Routledge.----」山本唯人

第3回研究例会(2003.7.18.金 場所:文学部)

研究報告
「市民活動支援の光と影」横田尚俊
「NPOのイラク体験と戦時の人道危機への備え---現場で考えた・感じた戦争----」三澤一孔(ピース・ウィンズ・ジャパン http://www.peace-winds.org/jp/F2/iraq.html

第4回研究例会(2004.1.9.金 場所:文学部)

活動報告及び審議事項
 研究所研究室の情報環境と情報化の取組み(研究所等HPの更新、データベース管理、オンデマンド授業サイトの運営、動画などの編集機能とその成果)
研究報告
研究プロジェクト:都市における資源循環システムと地域社会の変動」下村恭広
「早稲田の防災まちづくりモデル事業の現状と課題---内閣府防災担当プロジェクトから---」浦野正樹(現在、早稲田のまちモデル事業検討委員会座長)

第5回研究例会(2004.2.9.月 場所:文学部)

活動報告及び審議事項
 調査研究活動及び成果のWebを通じた公開(研究成果の電子図書館化など、現在のホームページ&オンデマンド・サイトのデモンストレーションと今後の充実化)
 各研究メンバー(専任研究員・客員研究員・研究協力者)HPの整備と内容の充実化
研究報告
トルコ・マルマラ地震後の住宅再建過程における家族と地域:デルメンデレの事例」吉川忠寛
内容紹介:50余りのかなり内容の濃いケーススタディを中心に、これまで得られた関連情報を整理した報告。日本の社会状況との違い、トルコの復旧・復興の課題を明らかにした。

第6回研究例会(2004.3.10.水 場所:文学部)

活動報告及び審議事項
 2004年度の研究計画の検討と情報化関連事業について

研究報告
「全国総合開発政策展開と都市・地域社会の経験」山根伸洋

第7回研究例会(2004.3.23.火 場所:文学部)

活動報告及び審議事項
2004年度の調査研究計画、調査研究のまとめと課題整理、情報化関連事業の目標
5年間の研究成果まとめに向けて(出版事業計画など)
◇紹介
浦野正樹「帰宅難民問題を考える」記事掲載
早稲田大学トップページにあるwaseda.comのオピニオン欄に掲載)
http://www.asahi.com/ad/clients/waseda/)。
 *なお、掲載期間は3/22〜29、それ以降はオピニオン欄のバックナンバーから見られる。


◆講演会、シンポジウムなど

浦野正樹

防災安全講演会など自治体主催の講演会
 鹿児島県主催 2003.8.6. (於鹿児島市)/ 群馬県主催 2002.10.17.(於前橋市)/
 東京都北区主催 2004.1.18. (於北区防災センター)/
原子力管理者・実務者等対象の講演会及び講座
  2003.9.4.(於石巻市)/ 2003.9.25.(於青森市)/
  2003.12.3.(於茨城県ひたちなか市)/ 2004.1.29.(於福井県敦賀市)/
災害救援ボランティア講習会講演(2004.3.27.)早稲田大学ボランティア・センター共催
 「安全・安心なまちをめざして--自主防災活動と防災まちづくり、ボランティア、NPOとの接点--」於:早稲田大学

大矢根淳

 原子力安全技術センター及び消防大学校における講演及び講義など多数。

 

◆その他委員会等

[浦野正樹]

東京都震災復興検討会議(東京都)委員
神奈川県震災復興検討委員会委員
防災まちづくり大賞選定委員会(消防科学総合センター主催、総務庁後援)委員
内閣府災害担当早稲田のまちづくり活動検討委員会座長その他

[横田尚俊]

山口県防災会議防災対策専門部会委員
山口県県民活動審議会委員(副会長職)、同基本計画検討委員会委員(会長職)
周南市市民活動促進協議会委員(会長職)
山口市市民活動推進支援評議会委員(会長職)

◆地域社会と危機管理研究所の研究内容を盛り込み運営している授業(2003年度)

早稲田大学教育学部教職課程「総合演習E(環境変容と社会変動)」(浦野、大矢根、菅講師担当)=継続
早稲田大学商学部「都市の危機管理」(浦野、大矢根、菅、麦倉ほか講師担当)=継続
早稲田大学理工学部「社会参加とボランティア」(浦野、海野、菅講師担当)=継続
早稲田大学第一文学部社会学専修科目「社会学研究3(都市・地域社会学)」(浦野担当)=新規
早稲田大学第一文学部社会学専修科目「社会学研究4(環境・災害社会学)」(浦野担当)=新規
武蔵大学人文学部「災害社会学」(大矢根、浦野、吉川、川西ほか担当) =新規
ほか

 

3.      研究成果の発表

【編著書】

浦野正樹編『地域における安全志向型コミュニティ活動の可能性と地域文化の変容に関する研究』(2000-01年度科学研究費補助報告書)2003年3月(全220頁)http://www.waseda.jp/prj-sustain/kaken2000-01/kaken2000-01title.html
(英文タイトル) Masaki URANO(ed.),”Community Movements and their Cultural Backgrounds for Safe and Sustainable Community(Grant-in-Aid for Scientific Research (C)(2) )” ,supported by the Ministry of Education , Science, Sports and Culture under Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas , March, 2003.

浦野正樹・篠田伸夫他編著『婦人防火クラブリーダーマニュアル(前編/日常活動編)---災害に強いしくみづくりをめざして---』財団法人日本防火協会 2003年3月 100頁


浦野正樹・浅野幸子・菅磨志保編著『婦人防火クラブ・リーダーマニュアル(後編/訓練・実践編)---いざというときのために---』日本防火協会 2004年5月予定 110p.


中島敬行・浦野正樹・田中淳・大矢根淳・首藤由紀・八木絵香他編著『緊急時の人間行動---原子力災害に備えて---(改訂版)』財団法人原子力安全技術センター 2003年5月 169p.
(英文タイトル) Takayuki NAKAJIMA, Masaki URANO, Jun TANAKA, Jun OHYANE, Yuki SYUDOU, Ekou YAGI et al.(eds.),”Human Behavior under the emergent situations: Against Atomic Disasters”, 2nd ed., Nuclear Safety Technology Center, 2003, 169p.

中島敬行・浦野正樹・田中淳・大矢根淳・首藤由紀・八木絵香他編著『心のケア---防災業務関係者のストレス対策---』財団法人原子力安全技術センター 2003年5月 112p.
(英文タイトル) Takayuki NAKAJIMA, Masaki URANO, Jun TANAKA, Jun OHYANE, Yuki SYUDOU, Ekou YAGI et al.(eds.),”Stress Management for Disaster Prevention Activities”, Nuclear Safety Technology Center, 2003, 112p.


麦倉哲『差別と環境問題の社会学』新曜社、2003年(共著)


【論 文】

横田尚俊「水害とコミュニティ」(社)土木学会西部支部・九州大学西部地区自然災害資料センター『平成14年度都市水害に関するシンポジウム講演論文集』所収、p.11-15 2003年1月


川西崇行「都市計画と都市の快適性」竹内佐和子編『日本の産業システム8:都市デザイン』NTT出版 2003.11. pp.65-95

「グローバリゼーションと郊外社会の変容--「郊外」研究の可能性をめぐって--」『早稲田大学大学院文学研究科紀要』(第1分冊)第48号 2003年3月 p.67-78
(英文タイトル)‘Globalization and the transformation of Suburban Society’, “Bulletin of the Graduate Division of Literature of Waseda University I ” vol.48, 2003 , p.67-78.

「災害のリアリティと想像力の<拡張>---自主防災活動の活性化をめざして---」 『消防科学と情報』No.72(2003春号)p.21-24

「自主防災活動と女性の社会参加---婦人防火クラブの活動を中心に---」『地方議会人』(2003年5月号)p.18-21

2003年度研究活動

学会報告

下村恭広「都市の資源循環システムと再生資源卸売業」

日本都市社会学会第21回大会自由報告 2003年9月6日 成蹊大学

下村恭広「東京の都市化過程における再生資源卸売業の集団形成とその変容」

関東都市学会研究例会 2003年9月20日 慶應義塾大学日吉校舎



4.     2004年度活動予定

(1)都市における資源循環システムの再編と地域社会の変動(リサイクルからまちづくりへ)に関する調査研究


 この研究では、2003年度に引き続き、消費生活から発生する各種資源、特に繊維、紙、金属などのリサイクル事業、及びそれを担う社会的担い手を事例として、都市における資源循環システムと地域社会の変動に関する調査研究を進める。それとともに、2004年度はリサイクルからまちづくり活動へ展開してゆく各地の住民の取り組みとの関わりに着目し、そこでの市民活動と自治体の施策について調査研究を拡充していく予定である。分析としては、次の2つの側面を意識しつつ調査研究を進める方針をたてている。
 第一は、近代東京の資源循環システムの発展と密接に関わって形成されてきた再生資源の回収・加工・売買を行う専門的な社会集団への着目である。近代東京においては、都市の廃棄物の収集と処理を専門にする社会集団は、工業化に伴って日用消費財産業の集積が進んだ城東地域に集積していった。こうして形成された地域社会は、高度経済成長期以降、産業構造の転換やそれに伴う資源循環システムの質的な変容、そして地価の上昇や工場立地の制限などによって大きくその様態を変えてゆく。こうした再生資源業界の再編と都市における集積構造の変容に着目して分析することは、都市地域研究や環境社会学研究にとって非常に重要である。
 第二は、高度経済成長期以降の、資源循環システムが大きく転換してゆく中で浮上してきた再生資源業界、市民運動、自治体のインターフェース(関係のしくみづくり)への着目である。各種の廃棄物問題やそれに対する新たな資源循環システムの構想が問われる中、衰退を続けていた再生資源業界は、そうした新たな動きの一端を担うべく模索しはじめている。首都圏における地域内の資源循環を構築する新しい取り組みのいくつかにおいては、再生資源取扱業者がリサイクルに関わる様々な住民活動の展開といかに連携すべきかが図られている。こうした動きの中には、リサイクルに始まってそれと相互連関する地域の様々な課題への取り組みに発展してゆく可能性を秘めたものも存在する。このような、リサイクルからまちづくり活動へ展開してゆく各地の取り組みを事例研究として調査を進め、そこでの再生資源業界、市民運動、自治体のインターフェースの変容について検討していく。

(2)地域における安全志向型活動の実態とその有効性に関する調査研究

 大都市、地方中小都市、農山村における防災まちづくりや防災福祉コミュニティ、安全な地域環境を志向した地域おこしや活性化の取組み等を対象にしたサーベイを引き続き実施するとともに、過去の被災地においても、社会構造、及び被災から復旧・復興に至る社会過程に関する追跡調査を引き続き行いその成果をまとめる予定である。
 2004年度は、とくに地域産業の育成や活性化ともからむ安全志向型まちづくり活動について、東京都区部を中心に調査を継続する。なお、調査及び分析にあたっては、従来どおり、集合的な活動のきっかけ要因、社会的背景、組織化過程、これまでの活動実態と活動維持条件、活動の有効性、活動の担い手層、及び人材育成の理念やあり方等について注目しつつ実施していく。そのうえで、安全志向型コミュニティ活動の障害を析出し、地域の自己診断、地域課題の発掘、主体形成から課題解決への活動過程に必要なツールやプロセスを吟味する。また、具体的な地域においての活動支援をワークショップなどの手法をとりながら実施するつもりである。

 

3)過去の災害誌および地域運動を含むまちづくりの活動誌の収集・公開と、災害・防災情報、都市・地域社会情報、環境関係情報データベースの拡充

 2003年度に引き続き、過去の主要な災害における被災状況や復旧・復興過程の住民の取組みについて、写真、映像、記録などを含む災害誌の収集を進め、できるだけ今後の災害教育に役立つような形でデータベース化をはかるとともに、生涯学習や高等教育に資するため、上記データベースなどのマルチ・メディア情報通信技術を活用した教育・学習教育プログラムの作成を進める。
 高等教育向けとしては、@災害・防災情報、都市・地域社会情報、環境関係情報を教育利用して いくためのデータベースの整備・充実
(研究・教育機関及び団体の検索エンジン機能を含む関連機関データベース、図表・写真・資料などの素材データベースの公開データ拡充作業)とA教育利用の方策検討、教育カリキュラムの作成(BBS・公開サイトの教育活用方法の検討と運営、演習的な要素を取り入れたオンデマンド授業の教材作成作業など)などをさらに詰めていく。
 また、生涯学習向けとしては、上記のデータベース群への関心を深め利用していくための、教材やマニュアル、及び教育カリキュラムの開発などを行っていく。とくに、普及・啓発的な入門講座の場合、上記データベース群の利用を促進していくためにも、コンパクトな教材やマニュアルの作成、災害被災地や環境被害地での現場学習などとも有機的な連携が図れる教育カリキュラムが重要になる。同時に、ボランティア団体とも連携しながら地域活動同士の情報交流ネットワークの構築を進めていく予定である。

 4)災害の社会学的研究分野における理論研究と経験的研究のサーベイと紹介

 これまでの災害研究、とりわけ人文社会科学分野での研究蓄積についてのサーベイを進めるとともに、まだ日本において紹介されていない分野・領域について、概説を含めて紹介を行なっていく予定である。
 

5.      研究所連絡先

   〒162-8644 新宿区戸山1-24-1 早稲田大学文学部 浦野正樹研究室内

         E-Mail: [email protected]  FAX 03-3203-7718

                     

6.      研究所のホームページ、または関連ホームページ

地域社会と危機管理研究所ホームページhttp://www.waseda.jp/prj-sustain/

「災害の社会学的研究への招待」データベースhttp://www.littera.waseda.ac.jp/saigai/

 浦野研究室ホームページhttp://www.waseda.jp/sem-muranolt01/

 ★が正式サイトです。総合研究機構とのリンクはこのサイトにお願いします。