Yasuhiro SHIMOMURA, Tamagawa University

下村恭広HP

玉川大学リベラルアーツ学部 助教
早稲田大学地域社会と危機管理研究所研究員

連絡先 〒194-8610 東京都町田市玉川学園6-1-1
Tel:042-739-8171 
E-mail: shimo@lit.tamagawa.ac.jp

 
 

 


 



プロフィール

学歴及び主な職歴

2000年3月、早稲田大学大学院文学研究科修士課程終了。4月、同博士後期過程に進学、現在にいたる。

2000年4月〜2002年3月 早稲田大学地域社会と危機管理研究所RA

2001年4月〜2002年3月 株式会社防災&情報研究所非常勤研究員

2002年4月〜 早稲田大学第一文学部助手および早稲田大学地域社会と危機管理研究所研究員

2003年4月〜200 年3月 学習院女子大学国際文化交流学部非常勤講師

2004年4月〜 玉川大学文学部非常勤講師

2005年4月〜 玉川大学文学部講師

2005年4月〜2007年3月 立教大学文学部非常勤講師

2006年4月〜2007年3月 早稲田大学第一文学部非常勤講師

2007年4月〜2008年3月 明治大学経営学部非常勤講師

2007年4月〜 玉川大学リベラルアーツ学部講師

社会活動歴

2001年9月〜 関東都市学会幹事

2002年5月〜2004年 地域社会学会編集委員

関心領域

「都市における資源循環システムの再編と地域社会の変動――リサイクルからまちづくりへ」

■リサイクルを社会的・歴史的・地理的文脈に沿って考える

 リサイクル活動は、自治体の廃棄物減量政策の手段として、あるいは環境問題に関わる市民運動の実践として論じられてきた。それらの議論は、大量消費・大量廃棄型の経済社会システムから循環型社会システムへの変革の模索の一環として位置づけられている。

 しかしより長期的な歴史的スパンにおいて、そしてより多様な地理的文脈を考慮して考えると、都市生活において発生する不用品や廃棄物の再利用・再資源化の諸形態は、ごみ問題や環境問題の解決を図る目的的・意図的な行為にとどまらない、様々な目的をもって行われていたといえる。資源循環型社会を構想するにあたっては、技術的な問題解決の手段をめぐる検討だけでなく、このような既存の資源循環の仕組みを理解することは不可欠である。そのような既存の仕組みを「資源循環システム」としてひとつのシステムとしてトータルに捉え、それがどのような歴史的・地理的文脈に根ざして発展してきたのか、また、それが他の制度といかなる相互連関や補完性を持って働いてきたのかについて考えてゆきたい。

■なぜ「資源循環システム」か

 本研究で言及される「資源循環システム」は、リサイクルをめぐる歴史的・地理的に様々な行為連関の諸様態を統一的に捉えようとする概念である。資源循環システムは、都市における生産過程や消費過程から排出される廃棄物を、回収・運搬・集積・選別・加工・再商品化/廃棄物処理する一連の過程である。

 これまで、都市の資源循環システムに関する研究は、リサイクル運動の研究、清掃行政の研究、地場産業論、都市下層論などの複数の領域で展開されてきた。しかし、リサイクル運動と再生資源業界とが接点を探るようになった今日の視点からは、双方の視点を統合した通史的なパースペクティブが求められている。

 この資源循環システムを考えてゆくときに、特に二つのことに注目している。第一に、それが都市化の過程と密接に関わっていることである。再生資源の循環は、その素材特性を規定する産業構造や生活様式によって性格付けられると同時に、その処理に一定の物的環境が必要であるため、都市の空間構造とも深く関わりながら形成されてきた。第二に、その担い手の多様性である。資源循環システムは、その運用と制御をめぐって、固有の産業集団、行政の統治機構、地域住民の組織的活動といった社会的担い手を派生させてきた。

 こうした資源循環システムに着目することは、より広く言えば、人間活動と自然との社会的な物質代謝の過程を、資源循環システムを担う多様な担い手の理解を通じて記述・分析してゆく試みである。担い手の多様性の理解が必要なのは、都市における社会的物質代謝過程の一環である資源循環システムが、単一の論理に基づいて体系的に働いているというよりも、政治経済的、社会文化的、歴史地理的な諸条件の中で、利害関心の異なる様々な主体の行為連関によって結果的に形成されているものだからだ。

■なぜ再生資源卸売業を中心に見ていくのか

 再生資源卸売業への注目は、環境問題の解決を目的とした行為ではないリサイクル活動が成り立つ内的な論理を理解するためである。たとえそれが環境問題やごみ問題の解決を直接に目的としていなくても、都市という自然化された社会環境の認識や制御の積み重ねのひとつであることは間違いない。再生資源卸売業の産業集団は、かつての東京や途上国の都市における資源循環システムの中心的な担い手である。もちろんそれらの仕組みへの注目は、それを理想化することではない。しかし、一定の持続可能性を持つ資源循環型社会を構想するにあたっては、こうした既存の仕組みを理解し、生かせるところを生かしてゆくことが求められる。

その他